ところで我日本に目を移すとこれがなかなか混沌としている。ジムでは東京のクライミングジムの老舗「Tウオール」を除くと「フォンテーヌブローシステム」を |
採用している所が多いがこれも特に最近ジムごとのばらつきが大きく、理事長からしておよそボルダリングを理解しているとは思えないあの日本フリークライミング協会までもが是正に乗り出そうとするしまつ。 しかも特集の室井登喜男のインタビューにある通り、付け方自体が本家と異なり同じグレード標記でも本場フォンテーヌブローとは互換性がないと言う(別にいいんだけどね)。 |
そんな中つい先日、室井にインタビューをする事になった、その後で彼にこの点などを含めてこのシステムについて聞いてみた。するとどうやらこのシステム、なかなか練りこまれたものらしい。 そこで今回の彼の説明から推測したこのシステムについて私が考える利点を挙げよう。 これによってこれまで詳しく説明される事のなかったソロバンシステムを理解する一助になれば思う。 |
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このシステムは基本的に自然壁のみを考慮したものらしい。 彼等(室井と草野氏)は日本文化に根ざしたグレードを目指しているらしい、あの課題名(蟹、虫、冬の日など)もカタカナは避ける方針だからだそうだ。 「段/級」は武道では無く日本古来の数学?「ソロバン」のシステムからきたものらしい。(この点を考慮し、本サイトでは「段/級」を「ソロバンシステム」と呼ぶ事にした)。 |
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これだけだとよく解らないと思うので、ここにこのシステムが特に優れている点を述べよう。
ソロバンシステムは相対グレードである。
つまり、 基準となるグレードをシステムのまん中に置くと言う事だ。 具体的には現在のところ、1級にあたる現存する課題をその岩場のグレードの基準にする、それによってここからのズレで各グレードが相対的に判断できる事になる。現在は多くの人が隣のグレード(つまり7a からこれくらい離れていれば7b、もしくは7cはな |
これは昔から岩場ごとのローカルグレードシステムに見られたやり方と似ている、しかし、基準グレードの明確化とそれが限り無くシステムのまん中に近い位置にある点が目新しい。 |
これに対して他の多くのグレードは絶対グレードである
(しかし体感グレードであるかぎり、”絶対”はあり得ない)。
たとえグレードがズレても「ここに立ち返る」という基準になるグレード(課題)が存在しないため、多くが自分の感覚で認めた隣のグレードとのズレのみで決めてしまう事になる、さて、もしその隣のグレードもズレていたらどうなるか?。 つまり、実際には存在しない絶対値を「隣のグレードとの差」という |
しかもその場合、絶対的基準が存在しないシステムでは最後にはズレているのかそうでないのかも解らなくなる可能性が大きいのだ。 もちろんソロバンシステムでも将来上限が6段、7段と伸びてくれば基準からのズレが大きすぎて不正確なものになって行く可能性も高いが、始めに基準が存在するだけ他のグレードより楽に修正できる可能性が残されている。 |
システムを維持するための課題
もともとクライミングは誰かに資格を認定されるようなものではない、自己責任で自由に楽しむスポーツだ(と思う)。 |
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もっとも「ジムはそれぞれ適等に」という考え方のようなので室井には問題ないのかもしれないが、なら本家Tウオールで採用しているのは何故か?このシステムに対する誤解を招くだけだと思うのだがどうだろう? |
その裏に「人工壁軽視」の考え方があるととすれば問題だが、確かにそう割り切ってしまえば事はシンプルで楽だ、しかしシンプルが常に良いとも限らない。 |
いまさら日本のローカルグレードを作ることに反対の方もいるだろうし、私のように利点を知りながらもどうもまだ何となく引っ掛かるという人もいるだろう。 また、人工壁と自然壁でグレードシステムを分ける事に反対の方もいるに違いない。 いずれにせよ、ソロバンシステムに見られる |
という原点に還った考え方はこれからのグレード論議に大きな影響を与える事は間違い無いだろう。 |
ジムでのグレードはこれから増 |
しかし一方、様々な傾斜、ホールド、ムーブを自由に作りだし、定期的にホールド替えをするジムなどの人工壁でグレードを誰もが納得するように正確にあわせる事は実は不可能と言っていいほど難しい。 |
一つは先に書いた「リーチ別階級制」、ただし現実にはこれはコンペに限られるだろう。もう一つは「おおざっぱにしてしまう」ことだ。(「割り切って気にしない」は除く) もっと多くの意見を聞けば他にもなにかいい案があるかもしれない。しかし実際どれがいいものやら、いろいろやってみてその中からどれかが定着するのを待つか? |
これからも多くの意見を聞きながら少しでもボルダラーとボルダリングの為になるグレードシステムを模索したいものだ。 その際は、一般に定着するより先に「◯◯協会公認グレード」なんて事をやるのはぜひ慎んでもらいたい、まだまだ時期尚早だ。これはしつこく念を押しておきたい。 |
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