先日、当サイトに読者から数件のメールが寄せられた。内容はあるクライミング雑誌に掲載された有名クライマーインタビュ−記事の中の「リードルート開拓時のチッピングを容認する」ととれる発言に対し、何の論説も付け加えない雑誌サイドに対する憤りだった。
今日、すでに存在するルートへのチッピングに関しては認める者はほぼいないと言っていいだろう、しかし開拓時のチッピングについては多くのクライマーが”やってはいけない”もしくは”よいことではない”と言うにも関わらず特にロープクライミングの世界には現実にチッピングルートが存在する。
最近、各地の岩場で同時多発的にチッピング「事件」が起きた、これらは既成ルートに対するもので最も悪質なものだが、一部ではボルダ−にも被害が及んでいると言われている。
自然を舞台にしたクライミングにはコンペティションと違いルールブックがない、これまでの長い歴史はクライマー同士の信頼関係で築かれてきたものだ。スタイルの異なるクライマー達が同じ岩場で共存できたのは、皆に”岩を傷つける事は悪い事”という共通の認識があったからだ。しかし今、その”信頼”が崩れかけている。
私達は、未来のクライマー達に恥ずかしく無い岩を残すことができる、必要なのはほんの少しの心掛けだけだ。
この時期に、我々はクライミングで最も大事な事の一つと言える”モラル”を当サイトで扱おうではないか!という事で「モラルが無くなったクライミング界」の考えられる一つの未来をコラム3に描いた。